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企業の歴史や創業者の想いなどを伝えるために制作する発行物を記念誌や社史と呼びます。もしあなたが記念誌や社史の制作担当になった場合、一体何から始めればいいのでしょうか? ここではその制作ポイントについて紹介していきます。
目次
記念誌とはその名前が示す通り、何かの記念に合わせてつくられる発行物の総称です。企業、学校、個人に関わらず、記念や祝い事の際に制作・出版されるものすべてに対してそのように呼ばれます。今回はその中でも周年の記念につくられる記念誌について説明していきます。
記念誌と社史は同じ発行物ですが、少し意味合いが異なります。記念誌は、創業や設立から数えて5年、10年といった節目のタイミングでそれまでの歴史を記録する目的で発行されることが多いです。発行者は企業、学校、各種団体、市町村などさまざまです。
社史は記念誌と違って、発行者が企業の場合に限って用いられます。その内容は自社の歴史や出来事をまとめたものが中心となります。周年記念や社長交代、株式上場などのタイミングで発行されることが多いです。記念誌と社史の違いを表で整理してみましたので参考にしてください。
記念誌の制作・発行には、どのような目的や意義があるのでしょうか。ここでは企業が記念誌を制作する主な3点の目的について解説していきます。
どんな企業でも設立から今日まで、紆余曲折があったはずです。記念誌はそのような企業の出来事を記しておくことで、社員たちに学びや教訓を与えることができます。たとえば、大きな失敗をしたとき。その内容を包み隠さず記載することで、失敗の原因やその失敗からどのように立ち直ったのかを知ることができます。また、社員が歴史のつながりを実感するとともに、今後自分たちが何をすべきかを考えるきっかけにもなるはずです。さらに新たな事業の立ち上げなどに挑戦した内容を記録しておけば、失敗を恐れずチャレンジすることの大切さが分かり、社員のモチベーションやチームワークの向上にもつながります。
なぜ会社を設立したのか、なぜ新たな事業を立ち上げたのか、など普段はあまり気にしないような会社設立の経緯などを記念誌に記録・保存しておくことで、後世にその内容を伝えることができます。このような企業の歴史は時が経つにつれ、知っている社員や役員が減っていくため、その人物が在籍中に聞き出しておくことが重要です。また、企業の歴史を記録しておけば、ウェブサイトや会社案内、採用パンフレットなど他の制作物をつくる際にも役立ちます。
記念誌に事業のストーリーを掲載することで、ブランディングのツールとしても活用できます。商品のラインナップや商品開発の経緯などを載せれば、その企業の姿勢やコンセプトを知ることができます。その内容を店頭や営業現場で顧客に伝えれば、自社のことをより深く知ってもらう機会になるでしょう。社会的に貢献度の高い仕事をしている企業であれば、そのような側面を強調した誌面構成にするのも有効。対外的なアピールやイメージアップにも使えます。
実際に記念誌を制作することになった場合、具体的にどのような手順で進めていけばいいのでしょうか? ここでは一般的な制作手順を紹介していきます。
記念誌を制作する上で最初にするべきことは、編集計画(スケジュール)を立てることです。記念誌はページ数が多くなるため、資料の収集、寄稿の依頼、OB・OGへの取材など、多くの作業が発生します。前回の記念誌制作から年数が経っている場合、もしくは初めて制作する場合は、情報収集から難航する可能性があります。そのため、1年かそれ以上のゆとりある編集計画を立てていきましょう。
記念誌制作の初期にしたいのが、誌面構成の決定です。一般的には「表紙、はじめに、目次、祝辞、社長インタビュー、年表、特集、年史、周年イベントの様子、資料、編集後記」といった内容で構成されることが多いです。なかでも「特集」は、画期的なプロジェクトやエポックメイキングな商品開発など、企業の独自性を出しやすいコーナーです。プロジェクトリーダーや商品開発チームに取材することで、当時の苦労ややりがいをリアルに描き出せば、読み応えのある内容になること間違いなしです。
記念誌に掲載する資料として重要なのが写真です。企業の過去を知っている社員や役員が減っていくと、写真などの資料集めが困難になるため、早めに取り掛かることをおすすめします。写真があったとしても、その写真が何を写したものなのかが説明されていない場合も多く、資料として掲載できない場合もあります。そのようなことがないよう記念誌の制作は定期的に行うことが大切です。
誌面の構成が固まり、どのような内容を記載するのかが明確になってきたら、取材・撮影を行います。取材対象者には、あらかじめ記念誌のコンセプトやどのような内容を聞きたいのかを伝えてから、取材・撮影に臨みましょう。取材する内容は過去のことが多いので、事前に当時の資料などを準備してもらって取材したほうがスムーズに進行できます。
取材内容を元に執筆します。執筆する際は記念誌の最初から最後まで違和感なく読んでいただくために、文体やトーン&マナーを統一する必要があります。執筆を分担すると、書き手によってどうしても文章に癖が出てしまいます。その際は、最後に誤字脱字のほか文体の統一などをしなければならないため、時間もかかります。社内で執筆依頼をする際は、早めに依頼し、執筆ルールもあわせて伝えることが重要です。
レイアウトやデザインは、記念誌の読みやすさに影響するため、文章と同じくらい大切なものです。記念誌はページ数が多いため、同じようなデザインが延々と続くと読み手は飽きてしまいます。全体的な統一感を出しながらも、コンテンツごとに変化を付ける工夫をしてみてください。文章の内容を重視する記念誌なのか、写真やイラストなどを多用したビジュアル重視の記念誌なのかは、記念誌のコンセプトに合わせて調整していきましょう。
より多くの社員に記念誌を楽しんで活用してもらうためには、表紙のデザインや写真選定がポイントとなります。表紙は記念誌の"顔"となる部分なので、表紙が良くなければ手に取ってもらえない可能性があります。そのため、記念誌のコンセプトを意識しながら「手に取って中身を読んでみたい!」と思わせるようなデザインにすることが重要です。その際、周年ロゴをうまく活用してデザインすることもおすすめです。
写真選定については、年配の社員が多い企業であれば、その方たちの若い頃の写真を多く掲載すると、職場で盛り上がります。写真だけを掲載するのではなく、その写真がいつごろ撮影されたものなのか、写っているものは何なのかを詳しく説明したキャプションを付けると、当時の様子がより分かりやすくなります。そのため、資料として写真を保存しておく場合は、日頃から写真に説明を付け加えておくことを習慣にしておくとよいでしょう
周年ロゴの作り方を紹介
近年は社内保管用や社外に配布するもののみ印刷し、社員用にはWeb掲載(電子ブック)にする企業も増えてきています。印刷費が減るためコストダウンでき、普段からパソコンやスマートフォンなどに慣れている社員にとっては、気軽に読みやすいメリットもあります。予算に限りがある場合は、このようなデジタル版での発行も視野に入れてみてください。
アイワットは電子ブックも作成可能
記念誌はその企業の歴史を綴った大切な記録であり、その制作に携わることは、長い企業生命の中の一部分に自身が関わることができる希少な機会です。ただ、制作担当者は自身の業務と並行しながら、記念誌制作を進めなければならず、大きな負担が年単位で続くことも考慮しなければなりません。そのため、制作のすべてや一部を専門の業者に依頼することも手段のひとつとして考えてみてください。客観的な視点で、社員では思いつかないようなアイデアや構成を提案してくれるかもしれません。
アイワットは1950年に中日本印刷として創業。記念誌や社史などの印刷をはじめ、その企画や制作にも携わることで、多くのノウハウを蓄積してきました。単なる歴史の記録に留まらない、企業の新たな存在価値や未来への飛躍につながるような記念誌制作をお手伝いします。
記念誌は、その企業の歴史を未来の社員やステークホルダーに伝えていくことが大きな目的。過去の出来事から学ぶことで、社員教育にも役立ちます。また、事業についてのストーリーを読み物的に掲載することで、社外にアピールでき、企業のブランディングやイメージアップにも貢献します。
記念誌や社史は同じ発行物ですが、少し意味合いが異なります。記念誌は企業の創業や設立から数えて、節目の年に発行されることがほとんど。対して社史は、周年に関わらず、社長交代や株式上場のタイミングに合わせて発行されることが多いです。
記念誌制作において、社員に喜んでもらえるものをつくることが重要です。そのためには表紙や写真選定にこだわりましょう。表紙は思わず中身を見たくなるようなデザインに、写真は社員の写真を多く使うとよいでしょう。特に年配社員の若い頃の写真を掲載すると職場で盛り上がります。